愛知県立芸術大学が名古屋市の中心地に持つギャラリーの内装設計である。
愛知県立芸術大学の在学生や卒業生・教員等、または本学自身の情報発信の場となることを目的としている。美術作品の展示はもちろん、小規模な音学コンサートが開かれることも想定される。ただ白い空間を用意するのみではなく、「愛知芸大」のキャンパス空間がもつ、日常の風景に創作活動が参加することでおこる、「表」に「裏」が溢れ出してきたような感覚を表現できないだろうか。
ギャラリーはテナントビルの地下一階にあり、主要なアプローチはエレベーターによる。エレベーターを降りるとホワイトキューブのホールがある。ホールの壁に沿って、隙間のようなエントランスからギャラリーへと入ると、右手にメインの展示室がある。展示室は、ホワイトキューブからボリュームがえぐり取られたような、ボイドとしてある。えぐり取られた結果として、白い塊の中に隠れているはずだった配管類や構造体は露わになり、向こう側には別の空間があることが窺い知れる。このギャラリーの展示室は、ずれた空間の隙間から裏側を垣間見てしまったような質をもっている。
若いアーティストたちが社会に羽ばたいていく、そんな場面にあって、かつての学び舎と繋がっているような感覚を想起させてくれる、このギャラリーがそのような存在になってくれることを願っている。

 所在地   :愛知県名古屋市
 用途    :ギャラリー
 構造/規模 :SRC造/地上7階・地下1階建ての地下1階
 施工会社  :株式会社 作定工業
 撮影    :VA 岡村靖子